諸々の悪条件下で第二次南極観測隊越冬隊は南極大陸に上陸できず越冬観測を断念することとなり,第一次越冬隊に置き去りにされた樺太犬たちは,南極で鎖につながれたまま少なくとも1年間放置されるという最悪の事態に陥ることが確定します.その新聞報道を見て表情を曇らせ,新聞を投げ捨てる多江さん.
置き去りにされた多江さん宅の愛犬・リキの運命を思うと多江さん自身も悲しいのですが,誰よりもリキを愛していた子供たち,とくに娘の心中を思うとさらに一層辛いのです.泣きじゃくる娘をただ抱き締めるしかない多江さんなのでした.
その後,多江さんは愛犬・リキの犬小屋を処分し,リキを天国に送ってあげようと提案します.リキの生還が絶望的となった今,リキを思い出させるものが毎日目に入るのはかえって辛いでしょうし,そうでもしなければ気持ちの整理がつかないのでしょう.子供たちも多江さんの提案に同意するのでした.
しばらく経ったある日,なんだか落ち着かない様子の多江さん.実はこの日,第一次南極観測隊のための樺太犬確保を担当していた第一次越冬隊副隊長 (主演の木村拓哉氏) が多江さんの父親・樺太犬研究者の古館教授 (山本學氏) の研究所へ来訪することになっていたようで.
来訪したキムタク氏の姿を見た多江さんは感情を抑えられず,リキを見殺しにしたあなたはウチには来ないでくれと責めたて,早く帰れと追い返そうとするのでした.
必ず犬たちを連れて帰るという約束 (第一話参照) を果たせなかったキムタク氏は多江さんに小突かれても何も言い返せないわけですが,その様子を見かねた多江さんの父親が多江さんを止めに入ります.
キムタク氏は大学の職を辞して樺太犬を提供してくれた飼い主宅を一軒一軒全て回り,それぞれの犬が南極でどのように頑張ったかを伝えようとしていました.辛いお詫び行脚ですが,それが彼なりのけじめのつけ方ということのようで.
愛犬・リキの犬小屋撤去作業を見守る多江さんと子供たち.当初は辛さのあまりリキのことは早く忘れようとしていた多江さんでしたが,徐々に心境が変化して南極でのリキの生き様を子供たちに聞かせてあげたいと思うようになっていました.
そんなわけで,多江さんはお詫び行脚中のキムタク氏を探し出して呼び止めるのでした.余談ですが,多江さんの乗っている車がいい味出してますなぁ.
南極で愛犬・リキはどんな風に生きていたのか,どんな顔をしていたのか,子供たちに話して聞かせてほしいとキムタク氏に言う多江さん.
多江さん,キムタク氏の語るリキの話に,子供たちと一緒に聞き入っています.
「リキは南極で命を預けあったかけがえのない仲間」だというキムタク氏の言葉に涙ぐむ多江さんなのでありました.
話を終えて辞去するキムタク氏に多江さんが千羽鶴を託しています.これは愛犬・リキたちのために子供たちが作ったものの,第一次南極観測隊の出発には間に合わず,自宅で保管されていたものです.もし第三次隊が南極へ行く際にはこの千羽鶴を南極のリキたちに供えてほしい,多江さんはそうお願いするのでした.
今回は多江さんの出番が多かったですな.おそらく全エピソードの中で最も出番が多いものになるのではないかと思います.演技の上手さと安定感は流石です.
ところで,このドラマは「実話をベースとしたフィクション」ですが,どこまでが史実でどこからが創作なのか,ちょっと気になります.置き去りにされた犬たちの南極での様子,とくに首輪抜けに成功した個体の行動はほとんど想像の世界だと思いますが,実際のところどれくらいのことが明らかになっているのでしょうかね.
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