ブラックボード 〜時代と戦った教師たち〜
第二夜 [TBS系]
2012/04/06
多江さんが「ブラックボード」というドラマに出演していました．敗戦後の価値観転換・混乱期，1980年代の校内暴力，近年の学級崩壊という困難な状況下でそれぞれ教壇に立った三人の教師を描いた三夜連続ドラマで，多江さんが出演したのは第二夜の校内暴力編でした．
この第二夜の主役は佐藤浩市氏で，聞き分けの無い不良生徒には手も足も出る熱き中学校教師を演じていました．多江さんはその佐藤先生の奥さんの役で出演．足踏みミシンが似合う昭和の奥さんです．エエですなぁ．
佐藤先生はその手も足も出る指導方針ゆえに一部勢力から暴力教師との批判を受けているようです．また佐藤先生・多江さん夫婦の一人息子は，厳しい教師である父親の存在が重荷になって鬱屈した感情を抱き，問題行動が目立つようになっていました．そんな状況でも多江さんは夫を理解して支え，息子を愛し，家庭を守る理想的な奥さんであり母親でしたな．
上述のように多江さんの息子は最近問題行動が目立ち，部活もしていないのに帰宅時間が遅くなったりしていました．多江さんはそれが心配でたまりません．上掲画像は玄関で物音がしたので息子かと思って迎えに出たら夫だったのでがっかりの図．なんだ，あなただったのという多江さんの表情がちょっと可笑しかったです．
嗚呼，多江さんの作った胡瓜の糠漬け食べたい．(^_^;
やがて息子が帰宅しましたが，帰宅が遅くなった理由を質しても見え透いた嘘の言い訳と利いた風な口ごたえをするばかりです．そんな息子を張り倒す夫と，それを制止する多江さん．多江さんも大変だな．
さて，佐藤先生は校内暴力で荒れる中学校に赴任し，その赴任初日から学校最悪の問題児 (志田未来嬢) を張り倒す正面突破ぶりを発揮していました．暴れる不良生徒を制止しようとして生傷を負うことも珍しくない感じです．
上掲画像は不良生徒が割ったガラスの破片でザックリ切れちゃった佐藤先生の手を治療する多江さん．「あぁ〜，ザクッといってるじゃない，もう〜」なんて言いながら包帯を巻いたりしていました．嗚呼，小生も多江さんに治療されたい．(^_^;
ある夜，佐藤先生宅に同僚教師 (貫地谷しほり嬢) が訪ねて来たので，お茶を出す多江さんです．このシーンはなかなか可笑しかったですな．
佐藤先生 (手も足も出る派) と貫地谷先生 (体罰反対派) が教育方針について議論していたその時，突如石が投げ込まれ，佐藤先生宅の窓ガラスが割られてしまいます．驚き怯える多江さんと貫地谷先生．
容易に想像されるように，これは佐藤先生に張り倒された不良生徒どもの仕返しでした．もちろんこんなことで佐藤先生のやり方は変わりはしませんが．
数日後，佐藤先生が帰宅すると多江さんが呆然として座り込んでいました．なんと一人息子が万引きをして警察官に追われ，その警察官に反撃して大怪我を負わせてしまったとのこと．これにはさすがの多江さんも愕然としています．
一人息子が万引きをするに至った経緯には佐藤先生に張り倒された不良生徒どもも絡んでいて，これもまたひとつの仕返しと言えなくもないのですが，その辺は割愛します．ただ息子も不良生徒どもも双方馬鹿としか言いようがありません．
警察に捕まった息子に面会に来た多江さん．今にも泣きそうな感じです．息子よ，こんなに優しくて素敵なお母さんを泣かせるんじゃないよ．まったく．
佐藤先生の息子が警察沙汰を起こしたことで佐藤先生のやり方に異議を唱えていた体罰反対派が勢い付き，佐藤先生は辞職を余儀なくされます．「暴力教師が息子の暴力沙汰で辞めさせられた」ということで世間の風当たりも強くなるから，多江さんはしばらく実家へ帰ってはどうか，警察に捕まった息子については俺が何とかするからと提案する佐藤先生．
しかし，多江さんは「母親は辞職できない」と言って自宅に留まることを決意するのでした．こんなにいいお母さんなのに息子は警察の厄介になるんですから子育ては難しいですのぅ．多江さん的にはここが一番の見せ場だったかな．
結局，佐藤先生は短期間で辞めさせられましたが，彼が起こした化学反応が契機となって校内暴力は沈静化し，最悪の問題児・志田未来嬢も改心して何とか卒業できることとなりました．また息子が警察に捕まったとこで佐藤先生と息子は改めて真摯に向き合うことができ，息子も反省して落ち着きを取り戻しました．
上掲画像は多江さんラストシーン．家庭裁判所からの帰途，息子が真人間に戻り，家族が元の鞘に納まって多江さんは思わず涙を浮かべるのでした．
今回の多江さんは，夫が怪我をしたり失職したり，家に石を投げ込まれたり，息子が警察に捕まったりと結構な波乱万丈ぶりなのですが，こういう事態になっても取り乱したりヒステリックになったり絶望したりせずに状況を受け止める穏やかな芯の強さが素晴らしかったです．
特に怪我・投石・失職の三連コンボは夫の職場での行動がひとつの原因になっていますので，こういうときに思わず夫を非難して愚痴や文句ばかりを言ってしまう奥さんも多いと思うのですが，今回の多江さんはそういうところがありませんでした．夫が怪我をした際には，夫の治療をするのが楽しそうな雰囲気すらありました(笑)．小生の視点では理想的な奥さん・母親で，多江さんの魅力が光るいい役でした．
ついでと言っては何ですが，大荒れ不良少女を熱演していた志田未来嬢．最後の改心後の笑顔と平原綾香さんの感動的テーマソングで忘れそうになりますが，彼女らが暴れることで生じた物的損害と負傷者は結構なものです．これも教育に必要なコストか．まぁ，教育はコストとか費用対効果といった算盤勘定には馴染まない世界ですけども．
何にせよ，彼女は素直に笑っている方が可愛いな．かかと踏むなよ．(笑)
もひとつついでと言っては何ですが，主演・佐藤浩市先生の同僚教師役として出演していた貫地谷しほり嬢です．理想に燃え，体罰絶対反対を主張する真面目な先生で，当初は佐藤先生のやり方にも異議を唱えていました．でも，最後に佐藤先生の思いをいちばん理解していたのは貫地谷先生だったかもしれません．
